僕は黒柴の龍之介、通称「りゅう」です。僕はちゃめごろう一家の3番目のわんこなんだけど、ずっと自己紹介できずにいました。それは、知っている方もいると思うんだけど、少しこわもて(?)で他のわんこと一緒にいられないことと、あとここ1年間、ずっと闘病生活を送っていたことなどの理由から皆さんの前に出てくることができなかったからです。
でも、実は僕、とうとう虹の橋を渡ることになってしまって、結局元気な姿を見てもらうことはできなくなりました。
僕の魂が体を抜けたのは昨日(3月18日)の昼間です。だから今の僕はふわふわとしながら皆のそばにいます。もうじき虹の橋を渡って、先輩猫のちゃめごろうさんに迎えに来てもらうことになっています。でもその前に僕のことを少しだけ皆に知ってほしくてこうしておしゃべりしています。
僕の生まれたのは2004年の10月です。
だからまだ3歳と5ヶ月でした。最初はふくおねえちゃんとカールお兄ちゃんととっても仲良くしていたんだけど

あるときちょっぴり男に目覚めてしまって、ふくお姉ちゃんとおやつのことで喧嘩してからカールお兄ちゃんにしかられたんだけど、僕のほうが体も大きく、強くなってしまっていたので大喧嘩になって、それから皆と離れ離れのお部屋で過ごすことになりました。
本当は皆と一緒に遊びたくて、さびしいけれど、弱みは見せたくないのでかえって威張ってしまい他の子を怪我させてしまったりと、僕も少しいけなかったんだよね。
でも、僕にとってちゃめごろう一家はやっぱり僕の仲間だから、散歩なんかいくときは、いつも喧嘩するカールお兄ちゃんとも一緒に並んで歩いたり、ふくお姉ちゃんとも遊んだり、妹のルイスとも一緒に走ったりしていたんだ。

だけどね、昨年の冬頃からなんだか息が苦しくなってきて。。。散歩にいっても走れないし、すぐに息切れするし、へんだなあと思っていたら胸の栄養を運ぶ管に穴が開いていて栄養分が肺の中に漏れてしまっていたことがわかったんだ。
それからが大変だったよ。肺に直接穴をあけてたまったものを抜いたりして、それでもすぐにまた溜まってしまうので、何度も何度も・・・
僕が管をかまないように包帯の上に洋服を着て、毎日病院に通ったんだ。他に悪いところはなにもないのでたぶん、生まれつきそこのところが脆かったんじゃないかということだけど、要するに原因不明ってことだ。
何度も入院して、僕としては一体どうなるのか?って不安もあったけど、でも入院先の人たちもやさしくしてくれたし、お父さんがとっても心配して僕を励ましてくれたから、僕がんばったよ。
お父さんは僕が良くなるって信じてた。そのかいもあって少しずつ溜まる量が減ってきたんだ。それで、病院の先生の薦めもあり、特別の手術をうけた。ずっと肺に穴をあけたままだと感染症にかかる恐れがとても高いので、肺にシリコンの管をつけてお腹に溜まっているものを流すようにする手術なんだ。でもぼくは2本足では立てないので自力では肺から腸に落ちないから、誰かにそのシリコンを体の上からぺこぺこ押してもらわないと駄目なんだ。その役目はもちろんお父さんが買って出てくれた。「ぺこぺこりゅうくん」なんて呼びながら、毎日毎日、僕をなぜながらぺこぺこしてくれた。ぺこぺこされるとなんだかちょっと変な感じだった。痛いときもあったし、お腹が苦しくなることもあったし、だから時々もういいよ!っていってお父さんを困らせた。お父さんが「死にたいなら勝手にしろ!!」って怒ったこともあった。でもそのうちやっぱりやらないとあとが苦しくなってしまうのがわかった。だから我慢した。お父さんが自分が具合が悪いときでも、指が痛くなって腱鞘炎みたくなったときでも一生懸命ぺこぺこしてくれたから、僕も頑張って我慢したんだ。
でもね、なかなか肺に溜まったものは抜けきらないし、利尿剤も飲んでいたけどのどもかわくので水もほしくなっちゃうし、だんだん僕の体が処理しきれなくなってきちゃった。
漏れてしまったものが体の上半身のほうに回ってしまって、前足が腫れてきちゃったよ。シリコンが入っている右半分の体の皮膚も漏れた養分の重みでたれてきた。後ろ足に栄養がいかないので骨と皮になっちゃった。
だからかなりかっこ悪い姿になってしまったよ。

お父さんやお母さんが僕の部屋に来て嬉しいときに、僕はよく何かをプレゼントしたくて、おもちゃや、何にもないときはペットボトルとか、トイレットペーパーの芯なんかもくわえて持っていってあげるんだけど、苦しくなるとそんなこともできなくなるのがつらかったよ。
何度が一進一退を繰り返して、少しずつ僕の体はお別れの準備を整えていったんだ。
ここ数日、本当に苦しかった。あんまり苦しいのでお父さんを明け方に無理やり起こしてしまったこともあった。
ごはんも食べたいけど下を向くのが苦しくて食べられない。
せっかく口に入れても飲み込むのも苦しいんだ。
息をするのもつらい。。。お母さんが最近の僕の様子をみかねて酸素ハウスを注文してくれて一週間くらいで届くといってくれた。「その中に入ると楽になるからね、もう少し待ってね。」って言ってくれているので僕はありがたいなあと思うけど、でも僕の体は持つのかなあ。。。と感じてた。お母さんも口には出さないけど少し不安そうな顔をしていたからきっと予感はあったんだろうね。
お父さんがとうとう見るに見かねて「病院でもう一度肺に穴を開けてぬていもらいに行こう」と言った。
僕はそんなことしても僕はもう駄目かも・・・っていいたかったけど、ここ毎夜、お父さんはぺこぺこしながら僕をなぜて、「りゅう、頑張るんだよ、お父さんも頑張るから。一緒に頑張ろうね」って繰り返し言ってくれるんだ。僕はそのときお父さんの大きな愛を感じて体があったかくなる、そのときだけは苦しさも忘れて、いつもぺこぺこするときはたれてしまう尻尾が自然と上がるんだ。僕の魂もお父さんの気持ちに反応してるんだ。
だから、もう無理だよなんて言えなかった。
だけどお父さんも疲れてる。僕もちょっと疲れたよ。
これからまた痛みに耐えて肺に穴をあけて抜いても、実は僕の心臓はだいぶ弱ってきていて最初のときみたく、耐えられないんだ。
だから僕は病院に着く前にこの体を離れることにした。
お父さんがそばにいてくれるときに逝こうって思った。
だってお父さんが見ていないときに逝ったらお父さんちゃめごろうさんの時みたく自分を責めるでしょ。
僕はそんなふうに後悔して苦しんでいるお父さんは見たくないんだ。
だから、このチャンスに逝こうって思った。
僕はお父さんの耳元に行ってそっと言ったんだ、「いままでありがとう。」って。
お父さんは僕が苦しいんだろうと思って励ましてくれたけど、
本当はお別れを言ったんだよ。
そのあとはちょっと苦しかったけどすぐに意識がとんでいった。
しんどさはほんの一瞬だけだった。
その後、体から抜け出たあと、少しだけ息苦しい余韻が残ったけど
それもすぐに消えていく。
体もだんだん一番健康的だった頃の状態に戻ってきたよ。
もう走り回っても苦しくない。
皆の周りを走り回ったり、お父さんのベッドに飛び乗ったりしてみたよ。
いつも一緒にいた猫のたびは僕のことが見えるみたいだけど
お父さんには見えないみたい。
お父さんは昨夜は「りゅう、りゅう」って僕を呼びながら
寂しさで心が一杯だった。
でもそんなに悲しまないでよ。僕は短かったけどちゃんと生きたよ。
お父さんも僕の看病を通じて、病気のわんこをかかえる人たちの気持ちを
理解して癒してあげられるようになったよ。
僕はお父さんや皆と一緒に精一杯生きるという役目を果たして
ちゃめごろうさんの待つ光の世界へ虹の橋を渡っていくんだよ。
また必ず逢えるから(実はいままでも何度も何度も逢っているんだ)
僕のことを幸せな気持ちで懐かしく思い出してくれれば
いつだって飛んでいくよ。ペットボトルをくわえてね。
よくお父さんは僕に「りゅう、チュッチュして」と要求した。
僕はちょっと照れくさいからちょびっとペロッとするとすぐに「もっとちゃんとしろ」なんて言うんだよね。
でもぺろぺろするとお父さんとっても嬉しそう。僕はおやつをもらえたんだね。最後は苦しくてほんのちょっとしかできなくなってごめんね。
今ならたくさんできるよ。お父さんは気づかないかもしれないけどね。
今度、再会したときに最初にしてあげるよ。約束する。
それから僕のおしゃべりにつきあってくれた皆さんにもお礼をいいます。
本当にありがとう。
皆さんの大切な家族のわんこたちと楽しい時間を過ごしてね。
僕たちはその一瞬を永遠の宝物にするために生まれてきたんだよ。
そして、お母さん、やっぱり酸素ハウス間に合わなくなっちゃってごめん。
お金、ないのにたくさん使わせちゃったね。
でも、他の仲間たちにもいつか必要になるときがくるし、
体にも心にもいいから僕からのプレゼントだと思って使ってね。
最後に大好きな大好きなお父さん、本当にいままでありがとう。
僕のほかにもたくさんの子たちがお父さんの大きな愛に触れたがっているよ。
僕にはわかるんだ。
だから僕を包んでくれたように、残ったやつにもしてやってよ。
僕はもうしばらくお父さんのそばにいて
お父さんの心が癒えた頃に虹の橋を渡ります。
見えなくても僕の気配を感じてください。お父さんにはきっとわかるはず。
そして必ずまた逢えるよ。
わんこ、にゃんこの皆も元気でね。
それでは、さようなら、そしてまたね!

by 龍之介